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非上場株式等の贈与者が死亡した場合 の相続税の課税の特例の改正

Ⅲ 適用関係

3   非上場株式等の贈与者が死亡した場合 の相続税の課税の特例の改正

 上記のとおり、経営承継受贈者である贈与者 からの猶予継続贈与により取得した特例受贈非上 場株式等についての贈与税の納税の猶予に係る期 限が、その特例受贈非上場株式等について猶予継 続贈与をした最初の経営承継受贈者に対して贈与 をした者の死亡の日とされたことに伴う改正が行 われています。

 すなわち、この特例でいう「非上場株式等の贈 与者」とは、猶予継続贈与により取得した特例受 贈非上場株式等について贈与税の納税猶予の適用 を受けている場合には、その特例受贈非上場株式 等について猶予継続贈与をした最初の経営承継受 贈者に対して贈与をした者のことをいうこととさ れ、この贈与をした者が死亡した場合にはその者 からその特例受贈非上場株式等を相続又は遺贈に より取得したものとみなされます。また、相続税 の課税価格に算入すべきその特例受贈非上場株式

等の価額は、その特例受贈非上場株式等について 猶予継続贈与をした最初の経営承継受贈者に対す る贈与の時の価額とされています(措法70の 7 の

3 ②、措規23の11②二)。

4  その他の改正

⑴ 非上場株式等の譲渡をした場合の取扱い

① 特例株式等以外の非上場株式等を有する場 合

 改正前の制度では、認定(贈与)承継会社 の非上場株式等で特例株式等(特例受贈非上 場株式等、特例非上場株式等及び特例相続非 上場株式等をいいます。以下同じです。)以 外のものを有する場合で、その認定(贈与)

承継会社の非上場株式等の譲渡等をしたとき は、特例株式等の譲渡等をしたのか、特例株 式等以外のものの譲渡等をしたのか判然とし ないことから、このような場合には、特例株 式等以外のものから譲渡等したものとみなす こととされていました(この結果として、猶 予期限の到来する贈与税・相続税が少なくな ります。)。

 上記1のとおり、特例株式等の贈与をした

場合であっても猶予中贈与税額のうち一定部 分の贈与税が免除されることとなりました。

これを改正前の制度の取扱いに当てはめると、

特例株式等以外のものから譲渡等したものと みなされるため、結果として、免除される贈 与税が少なくなることになります。そこで、

特例株式等以外の非上場株式等を有する場合 において、猶予継続贈与をしたときは、特例 株式等から贈与したものとみなすこととされ ました(措令40の 8 、40の 8 の 2 、40の

8 の 3 )。

② 特例株式等の譲渡等をした場合

 贈与税の納税猶予の適用を受ける経営承継 受贈者が、その後その贈与者以外の者からの 相続により同じ会社の非上場株式等について 相続税の納税猶予の適用を受けることもあり ます。このような場合に、特例株式等を譲渡 等したときには、特例受贈非上場株式等と特 例非上場株式等とが色分けされているわけで はないので、どちらの譲渡等であるのか判然 とせず、猶予されている贈与税及び相続税の うち、それぞれの猶予期限が到来する部分の 計算ができないことになります。こうしたこ

(例) 事業承継税制の適用に係る贈与により、 1 代目から 3 代目まで、株式が移転している場合 経営者1 代目

①贈与

経営者2 代目

②納税猶予

免除

経営者2 代目

③贈与〔16項 3 号〕

経営者3 代目

④納税猶予

納税猶予の適用を受けている「 3 代目」にとっての納税猶予期限は、 2 代目の死亡時ではなく、 1 代目の死亡時となる。

とから、改正前の制度は、その特例株式等の うち先に取得したものから順次譲渡等したも のとみなすこととされていました。

 上記1のとおり、経営承継受贈者が特例受 贈非上場株式等について猶予継続贈与をした 場合には、贈与税の納税猶予制度の適用に係 る特例受贈非上場株式等に対応する猶予中贈 与税額に相当する贈与税については免除され ることとなりました。これにより、 1 代目の 経営者から贈与による事業承継が行われ、 2 代目の経営者が贈与税の納税猶予を適用し、

更に 1 代目が存命中に 2 代目の経営者から 3 代目に贈与による事業承継が行われ、 3 代目 の経営者も贈与税の納税猶予の適用を受ける ことも可能になります。このような場合にお いて、 2 代目から 3 代目へ贈与される非上場 株式等については、 1 代目が贈与したものだ けに限られず、( 1 代目から 2 代目への贈与 以前から)もともと 2 代目が所有していた非 上場株式等であることもあり得ます。したが って、 3 代目が特例受贈非上場株式等を譲渡 等した場合には、その特例受贈非上場株式等 が 1 代目由来のものなのか 2 代目由来のもの なのか区別する必要があります。そこで、

「特例株式等のうち先に取得したもの」が、

猶予継続贈与により取得した特例受贈非上場 株式等である場合には、先に贈与税の納税猶 予制度の適用を受けていた経営承継受贈者に 係るもの( 1 代目由来のもの)から順次譲渡 等したものとみなすこととされました(措令 40の 8 、40の 8 の 2 、40の 8 の 3 )。

⑵ 非上場株式等の贈与の日の属する年にその贈 与者が死亡した場合

 現行では、非上場株式等の贈与を受けた者が 非上場株式等の贈与税の納税猶予制度の適用を 受けようとしている場合において、その贈与の 日の属する年にその贈与者が死亡し、かつ、そ の贈与者から相続又は遺贈により財産を取得し たことによりその非上場株式等の価額が相続税

の課税価格に加算されることとなるときは、そ の非上場株式等について相続税の納税猶予制度 の適用を受けることができます(措令40の 8 の

2 ②)。

 上記のとおり、今般の改正において、猶予 継続贈与により取得した特例受贈非上場株式等 に係る贈与税の納税猶予の期限は、猶予継続贈 与をした最初の経営承継受贈者にその特例受贈 非上場株式等の贈与をした者の死亡の日とされ たところです。したがって、例えば、① 1 代目 から 2 代目へ非上場株式等の贈与、② 2 代目の 贈与税の納税猶予の適用、③ 1 代目存命中に 2 代目から 3 代目へその非上場株式等の贈与、④

3 代目の贈与税の納税猶予の適用、と事業承継 がされる場合には、 3 代目の贈与税の納税猶予 の期限は 1 代目の死亡の日となり、その 1 代目 の死亡に係る相続税の納税猶予に切り替えるこ とができます。しかし、このような場合におい て、③の 2 代目から 3 代目への贈与のあった日 の属する年に 2 代目が死亡したときは、単に現 行制度に当てはめると、 2 代目の死亡に係る相 続税の納税猶予を適用することとなり、贈与者 の死亡のタイミングによって課税関係が変わっ てしまうという問題が生じます。そこで、この 問題を解消するため、贈与税の納税猶予制度の 適用を受けようとする経営承継受贈者が猶予継 続贈与により特例受贈非上場株式等を取得して いる場合において、その贈与の属する年にその 贈与者が死亡した場合には、その特例受贈非上 場株式等については、その贈与者の死亡に係る 相続税には取り込まないで、贈与税の納税猶予 制度の適用が可能となるよう規定の整備がされ ました(措令40の 8 )。

⑶ 相続税の納税猶予制度の重複適用排除の例外  贈与税の納税猶予制度の適用を受ける経営承 継受贈者が、特例受贈非上場株式等の一部を猶 予継続贈与し、残りの一部の特例受贈非上場株 式等に係る贈与税については、納税猶予の適用 を続ける場合が想定されます。非上場株式等に

係る納税猶予制度は重複適用が排除されていま すから、この場合には、猶予継続贈与を受けた 者が死亡したときは、その者から非上場株式等 を相続した者は、相続税の納税猶予制度の適用 を受けることができません。そこで、今般の改 正においては、相続した非上場株式等に係る会 社の株式等について、贈与税の納税猶予制度の 適用を受けている経営承継受贈者がいる場合で あっても、その者が猶予継続贈与をした者であ るときは、その相続した非上場株式等について 相続税の納税猶予制度の適用を受けることがで きることとされました(措法70の 7 の 2 ⑧)。

Ⅲ 適用関係

 上記Ⅱの改正は、平成27年 4 月 1 日以後に贈与 又は相続若しくは遺贈により取得する非上場株式

等に係る贈与税又は相続税について適用され、同 日前に贈与又は相続若しくは遺贈により取得した 非上場株式等に係る贈与税又は相続税については 従前どおりとされています(改正法附則 1 、97⑥

⑧⑩)。

 なお、同日において、既に、非上場株式等につ いての贈与税の納税猶予及び免除の適用を受けて いる経営承継受贈者、非上場株式等についての相 続税の納税猶予及び免除の適用を受けている経営 承継相続人等又は非上場株式等の贈与者が死亡し た場合の相続税の納税猶予及び免除の適用を受け ている経営相続承継受贈者である者についても、

上記Ⅱ(4 ⑶を除きます。)の改正内容を適用す ることができます(改正法附則97⑦⑨⑪、改正令 附則46⑤~⑦)。

五 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の改正

1  改正前の制度の概要

⑴ 制度の仕組み

 個人が相続又は遺贈により財産を取得した場 合において、その財産のうちに、その相続の開 始の直前において、被相続人又は被相続人と生 計を一にしていた親族(以下「被相続人等」と いいます。)の事業の用又は居住の用(居住の 用に供することができない一定の事由により相 続の開始の直前においてその被相続人の居住の 用に供されていなかった場合におけるその事由 により居住の用に供されなくなる直前の被相続 人の居住の用を含みます。)に供されていた宅 地等(土地及び土地の上に存する権利をいいま す。以下同じです。)で建物又は構築物の敷地 の用に供されているもののうち棚卸資産に該当 しない宅地等があるときは、その相続又は遺贈 により財産を取得した者に係る全ての宅地等で この特例の規定の適用を受けるものとして選択 したもの(以下「選択特例対象宅地等」といい ます。)が、限度面積要件を満たす選択特例対

象宅地等(以下「小規模宅地等」といいます。)

である場合には、相続税の課税価格に算入すべ き価額は、通常の方法によって評価した価額に、

次に掲げる小規模宅地等の区分に応じ、それぞ れに定める割合を乗じて計算した金額とされて います(措法69の 4 ①)。

① 特定事業用宅地等である小規模宅地等、特 定居住用宅地等である小規模宅地等及び特定 同族会社事業用宅地等である小規模宅地等

��20%

② 貸付事業用宅地等である小規模宅地等��

50%

(注 1 ) 「居住の用に供することができない一定の 事由」とは、次の事由をいうこととされて います(旧措令40の 2 ②)。

イ 介護保険法に規定する要介護認定又は 要支援認定を受けていた被相続人が次に 掲げる住居又は施設に入居又は入所をし ていたこと。

イ 老人福祉法に規定する認知症対応型 老人共同生活援助事業が行われる住居、